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第二章 粉の 「揺すり」 で稼ぐ ユーラスを武器に振動応用機分野への進出 1 .跳ね、 沸き立ち、 滑らせ、 突き固め 振動応用の代表的機能
2025-10-01
[ユーラスとともに40年]
そもそも粉体などの所謂「ばら物」のハンドリングに振動を利用するのは、振動作用に よって物体を跳ね上がらせたり、逆につき固めるたりする事などができるからである。
例えば、粉薬を少量移す時などは、紙で樋を作ってこれに薬を乗せて、その樋に手首や指先で振動を与えながら、少しずつ動かして送ってやったり、小麦粉を容器に詰めるときは揺すったり、片方の手で叩いたりする。また、お菓子を作るときなどは小麦粉を篩(ふ るい)を通して均等に分散させる。このように振動利用には、振動を発生させる装置(上 の例では人間の手指)、とその振動を受けて仕事をする装置 (上の例では紙の樋や、容器、篩網)から成り立っている。ばねに吊られて単独のユーラスが踊り狂っていても、何の仕 事もしていない。振動機械はこれらの「ばら物」を工業的に大規模に処理を行うための道具として使用されていると考えて貰えばよい。
一般には樋や容器や篩に直接ユーラスを取り付けて、その振動を利用する装置が振動機械であるが、さらに一歩進んで「共振」 <2用語2>作用を利用して全体を軽量化したり、操作をやりやすくすることも多い。どちらの場合も、通常振動の範囲 (振幅) は±1~20 mm程度まで位で、振動数は毎分3600~500回程度である。
ユーラスの初期の応用分野は、前章で述べたように、ホッパの側壁に取り付けて、そこからの内容物のスムースな排出を促進するものであった。昭和30年代の終わり頃、漸く 独り立ちしかかったユーラスの、他の分野への応用を検討しているときに、北陸のN社から振動フィーダへの応用の提案があり、当時電磁式が全盛であったこの分野へ進出することになった。ユーラスの出現まで、工業的に使用されていた振動機械の振動源は、上に述 べたように共振を利用した電磁式、低い振動数ではモータでベルト駆動するクランク式、往復ピストン式であった。いずれも一長一短があり、前者は騒音、大型化の点で、後者は 寿命、地盤振動の点で問題があった。
N社の社長が村上精機の社長と同窓でもあったことが、初期の開発には役立った。この開発にはいろんなエピソードもあると聞いているが、私自身直接タッチしていないので、ここではユーラスを使った振動機械の第一歩がこの開発からスタートした事を記すのみに止める。
振動機械では振動源 (我々の場合はユーラス) からの力を隅々まで正確に伝えられる「剛 「性」が求められる。しかし通常の機械構造物は一見変形はないように見えても微視的に観れば「ブリキ細工」みたいな物である。変形しやすい振動機械の構造であれば、振動力により部分的に変形が起こり、正確な振動が伝えられない。特に大型機械になるとこの点が問題になる。大形旅客機の翼が大きく上下に揺れている状況を見られた方もあるだろうが、振動機械にとってはああいった目に見える変形などは致命的であり、変形が最小限になる ような設計が求められる。しかし、そのために厚い材料を使えば重くなり、それだけ正規の振動を与えるのに大形のユーラスが必要になり、悪循環に陥ってしまう。
通常の振動輸送機では、振動トラフにユーラスを1台だけ直接取り付けても振動 (振幅) の軌跡が直線にならず、各部の振動の軌跡が異なって輸送能力が極端に低下し、偏りも生じることが多い。時には逆方向に進むことさえある。電磁式、クランク式の振動機械では、振動軌跡は直線が当たり前で、このような問題は生じていなかった。振動の軌跡が問題に なったのは振動モータを振動源に使用した時点からであると思っている。
現在でも振動機械の中で最も普及しているのが、主に砕石、鉱石、石炭、化学原料な どの粉粒体原料(いわゆる「ばらもの」)を扱う分野で、貯蔵ホッパからの次工程または計量容器への定量供給切り出しを行う「フィーダ」、振動を輸送力にしている 「コンベア」、振動篩分け「スクリーン」の3つである。その他に充填・ほぐし分野への利用もかなりあるが、これに関しては、この章の最後及び別の章で、改めて触れることにする。
これまでに我々が開発・製作した振動機械の種類は、 分類方法にもよるが10種類近くになる。その中での大物3兄弟は、上記の3機種 (フィーダ、コンベア、 スクリーン) で、 以下にこれらに纏わる話を進める。
ちなみに我々の製作した振動機械は、日本の北の「果て」に近い礼文島、今は廃鉱にな った別子銅山の地下深くで活躍していたし、さらには大型ユーラスは日本からは地球の反対側にあたる南アフリカにまでも納入され、金鉱の処理用の大型スクリーンに取り付けら れて多数使用されている。 また世界で最も気温が低いと言われる極北のシベリヤヤクートにも超大型の振動フィーダが納入されている。
例えば、粉薬を少量移す時などは、紙で樋を作ってこれに薬を乗せて、その樋に手首や指先で振動を与えながら、少しずつ動かして送ってやったり、小麦粉を容器に詰めるときは揺すったり、片方の手で叩いたりする。また、お菓子を作るときなどは小麦粉を篩(ふ るい)を通して均等に分散させる。このように振動利用には、振動を発生させる装置(上 の例では人間の手指)、とその振動を受けて仕事をする装置 (上の例では紙の樋や、容器、篩網)から成り立っている。ばねに吊られて単独のユーラスが踊り狂っていても、何の仕 事もしていない。振動機械はこれらの「ばら物」を工業的に大規模に処理を行うための道具として使用されていると考えて貰えばよい。
一般には樋や容器や篩に直接ユーラスを取り付けて、その振動を利用する装置が振動機械であるが、さらに一歩進んで「共振」 <2用語2>作用を利用して全体を軽量化したり、操作をやりやすくすることも多い。どちらの場合も、通常振動の範囲 (振幅) は±1~20 mm程度まで位で、振動数は毎分3600~500回程度である。
ユーラスの初期の応用分野は、前章で述べたように、ホッパの側壁に取り付けて、そこからの内容物のスムースな排出を促進するものであった。昭和30年代の終わり頃、漸く 独り立ちしかかったユーラスの、他の分野への応用を検討しているときに、北陸のN社から振動フィーダへの応用の提案があり、当時電磁式が全盛であったこの分野へ進出することになった。ユーラスの出現まで、工業的に使用されていた振動機械の振動源は、上に述 べたように共振を利用した電磁式、低い振動数ではモータでベルト駆動するクランク式、往復ピストン式であった。いずれも一長一短があり、前者は騒音、大型化の点で、後者は 寿命、地盤振動の点で問題があった。
N社の社長が村上精機の社長と同窓でもあったことが、初期の開発には役立った。この開発にはいろんなエピソードもあると聞いているが、私自身直接タッチしていないので、ここではユーラスを使った振動機械の第一歩がこの開発からスタートした事を記すのみに止める。
振動機械では振動源 (我々の場合はユーラス) からの力を隅々まで正確に伝えられる「剛 「性」が求められる。しかし通常の機械構造物は一見変形はないように見えても微視的に観れば「ブリキ細工」みたいな物である。変形しやすい振動機械の構造であれば、振動力により部分的に変形が起こり、正確な振動が伝えられない。特に大型機械になるとこの点が問題になる。大形旅客機の翼が大きく上下に揺れている状況を見られた方もあるだろうが、振動機械にとってはああいった目に見える変形などは致命的であり、変形が最小限になる ような設計が求められる。しかし、そのために厚い材料を使えば重くなり、それだけ正規の振動を与えるのに大形のユーラスが必要になり、悪循環に陥ってしまう。
通常の振動輸送機では、振動トラフにユーラスを1台だけ直接取り付けても振動 (振幅) の軌跡が直線にならず、各部の振動の軌跡が異なって輸送能力が極端に低下し、偏りも生じることが多い。時には逆方向に進むことさえある。電磁式、クランク式の振動機械では、振動軌跡は直線が当たり前で、このような問題は生じていなかった。振動の軌跡が問題に なったのは振動モータを振動源に使用した時点からであると思っている。
現在でも振動機械の中で最も普及しているのが、主に砕石、鉱石、石炭、化学原料な どの粉粒体原料(いわゆる「ばらもの」)を扱う分野で、貯蔵ホッパからの次工程または計量容器への定量供給切り出しを行う「フィーダ」、振動を輸送力にしている 「コンベア」、振動篩分け「スクリーン」の3つである。その他に充填・ほぐし分野への利用もかなりあるが、これに関しては、この章の最後及び別の章で、改めて触れることにする。
これまでに我々が開発・製作した振動機械の種類は、 分類方法にもよるが10種類近くになる。その中での大物3兄弟は、上記の3機種 (フィーダ、コンベア、 スクリーン) で、 以下にこれらに纏わる話を進める。
ちなみに我々の製作した振動機械は、日本の北の「果て」に近い礼文島、今は廃鉱にな った別子銅山の地下深くで活躍していたし、さらには大型ユーラスは日本からは地球の反対側にあたる南アフリカにまでも納入され、金鉱の処理用の大型スクリーンに取り付けら れて多数使用されている。 また世界で最も気温が低いと言われる極北のシベリヤヤクートにも超大型の振動フィーダが納入されている。